恥ずかしながら、ようやくWOWOWで観ました。だって気合い入れて観ないとダメそうだったんだもん。
で、感想ですが、じわじわ心に来ます。かなりの傑作でした。

枠はハリウッド大作映画ですが、監督は『リトル・ダンサー』の人だし、主演女優軍団は揃って演技派魂むき出し系なので、濃厚かつ繊細な味わいでした。1シーン1シーンが非常に丁寧。行間がビシバシ伝わってくるので退屈ということもないです。

女優陣は怖そうな主演ババア3人にくわえて、若手とはいえすでに怖いトニ・コレットとクレア・デーンズまでいて、5人揃って睨まれたら絶対ショック死しそうな勢い。つけ鼻ニコールがこれと『アザーズ』あたりで「あたしキレイなだけじゃないのよ~」と見せ付けてオスカーを受賞したわけですが、メリルばあさんとジュリアン・ムーアも全然負けてません。いやー、メリルばあさんは本当にいい女優だね。『永遠に美しく』のオカマババアっぷりも見事だったけど、バイオリン弾いてみたり、激流下りしたり、この人の引き出しと情熱には誰もかなわないと思います。ハッスルばばあ万歳。それと、ジュリアン・ムーアの静かに追い詰められた演技も見事でした。

自分、『ダロウェイ夫人』の原作はもちろん、映画も観ていないので、この作品ももちろん基本的には難しい映画だったんですが、それでもちゃんと伝わりました(多分)。それだけこの映画が確かなものを放出してくれてるんじゃないでしょうか。
何気に主人公やその周囲の人々がレズビアンやゲイだったり、ビアン風味の行動をとってみたりして、そういう意味でも見どころはあります。ただこの映画は、ものすごく同性愛的なものが作品全体に行き渡っていながら、それ自体がもろなテーマでもない。むしろジェンダーやセクシャリティなんてのははなから全ての人間にグレーゾーンとして存在するものだと言わんばかりに、それらを包括した上での、「幸せ」と「不幸」、「生」と「死」の揺らぎを描いています。

自分がドキッとしたのは、ニコール演じるバージニアが「登場人物の誰かが死ぬことで、生が際立つ。そのために私は詩人を殺す」みたいなことを言ったところ。生の意味を対比的に描くために、生を深く考えさせるために、物語が選んだ犠牲者は、この映画では母に捨てられたエイズのゲイの詩人なのですね。2001年の現代の設定でそれというのは、ちょっと古い気もするのですが、そこに象徴されたもの自体は、切ないながらも有意義なのかもしれません。

人の弱さと絶望と、その同じ分だけ逆の強さと希望を、丁寧な振幅で見せてくれるこの映画。明らかにスルメ系だと思われるので、そのうちもう一回見たいです。

めぐりあう時間たち